“簿記1級を取得すれば食いっぱぐれない”
このような噂を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
実際のところ、これは事実です。
かの有名な実業家の西村博之(ひろゆき)氏もYouTubeで簿記1級を取得すれば食いっぱぐれないと言っていますね。
今回は簿記1級が食いっぱぐれないとされる理由を中心に解説していきたいと思います。
この記事を読めば、なぜ簿記1級を取得すると食いっぱぐれないのかがよくお分かりいただけますよ^^
公認会計士、簿記1級〜3級保有の筆者が丁寧に解説しますので、是非最後までお付き合い下さい!
簿記1級を取得すれば食いっぱぐれないって本当?
結論から申し上げますと、これは本当です!
Twitter上の意見もみてみましょう。
簿記1級とったら食いっぱぐれないって賢い人がゆってた。
— 式 (@Siki1315_Sinner) March 7, 2021
簿記1級持ってれば、一生食いっぱぐれないみたいな
「経営管理のプロ」だからねこれから先を考えたら、難しくても絶対持ちたい資格
やれば出来る 頑張れ💪
— 何故ラジオを聴くのか そこに文代様がいるから (@ilovefumiyono1) January 31, 2021
簿記ってどこの会社でも必ず必要だから食いっぱぐれない超有能資格だよね。ただし簿記1級からは個人の適正が出てくる。合わない人には無理。あと簿記ってどっちかっつーと文系科目で、逆に理系の人が合わなかったりすることもある。
— Nine (@gdgdNine) November 14, 2014
このように、簿記1級を持っていれば食いっぱぐれないと思う人がたくさんいることがお分かりいただけるかと思います。
では、次に食いっぱぐれないとされる理由についてみていきましょう。
食いっぱぐれない理由
食いっぱぐれない理由は以下の5つです。
・重宝される資格の割に合格率が低い
・就職・転職に有利
・上位資格も取得できる可能性がある
・専門性が高い
それぞれ詳しく解説します。
年収が高い
簿記1級保有者の多くが大手企業(資本金10億円以上の株式会社)の経理職に就くと仮定し、日本の平均年収と比較してみました。
日本の平均年収
- 443万円(男性:545万円、女性:302万円)
大手企業の平均年収
- 615万円(男性:731万円、女性:363万円)
このように簿記1級を保有していると、日本の平均年収よりも170万円以上、上回ることが分かります。
重宝される資格の割に合格率が低い
ネットに公開されている「企業が求める資格ランキング」をみてみましょう。
全国のハローワーク(公共職業安定所)で受け付けた求人情報をウェブ上で閲覧できるサイト、「ハローワークインターネットサービス」を使って、定期的に「仕事に活かせる資格」としておなじみの資格の求人数をリアルに集計しています。「ハローワークインターネットサービス」では、詳細条件入力機能を使えば「免許・資格を採用の必須条件とする求人」を検索することができます。
「簿記」は企業が求める資格ランキングで第2位を占めていることから、その最高峰である簿記1級を取得していると企業からどれだけ重宝されるかがお分かりいただけるかと思います。
さらに、簿記1級の合格率は平均すると約10%であり、かなり低いです。
以下は日本商工会議所が開示している「1級受験者データ(統一試験)」からの抜粋になります。(過去5回分)
回 | 合格率 |
---|---|
164(2023.6.11) | 12.5% |
162(2022.11.20) | 10.4% |
161(2022.6.12) | 10.1% |
159(2021.11.21) | 10.2% |
158(2021.6.13) | 9.8% |
このように企業から求められているにも関わらず、取得できる人が限られていることから(筆者も簿記1級はかなり苦戦しました)、簿記1級を保有していると食いっぱぐれないと言われているのです。
就職・転職に有利
簿記1級を保有していることは大きなアドバンテージとなり、就職・転職でもかなり有利に働きます。
特に簿記1級を保有していると、複雑な会計処理も可能なことから上場企業の経理職にも就くことができますね。
この点については資格に強い予備校でも述べられていました。
Q.何級まで取得すれば、就職や転職に有利ですか?
A.1級まで取得すると、大手企業や上場企業の会計に関する一連の会計知識が身に付きます。 経営企画部門での財務分析や、コスト管理業務等において有利になる他、それらを行う部門の責任者としての可能性も広がります。
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上位資格も取得できる可能性がある
簿記1級までの知識がある方は上位資格の税理士や公認会計士を目指すことも可能になります。
簿記1級だけでも十分ですが、さらに年収をアップできる可能性を秘めており、かなり期待度の高い資格です。
この点については資格に強い予備校でも述べられていました。
Q.将来、公認会計士や税理士を目指しています。その場合、日商簿記1級の合格は必須でしょうか?
A.公認会計士を目指される場合は、日商簿記1級の内容まで学習・理解しておくことが必要です。 税理士試験の必須科目「簿記論」「財務諸表論」は、日商簿記1級で学習する「商業簿記」「会計学」の内容と約9割の範囲が共通しているため、1級の学習は大きなアドバンテージになります。日商簿記1級は税理士試験の受験資格(資格要件のひとつ)でもありますので、”受験資格”として目指される場合は、試験に合格することが必要になります。
引用:クレアール よくある質問
このように、簿記1級は公認会計士や税理士試験と密接に関連しており、また、簿記1級を取得していると、税理士試験(税法科目)の受験資格の1つとしても使用可能になります。
専門性が高い
簿記1級を取得するまでには合計950時間(簿記3級:100時間、簿記2級:250時間、簿記1級:600時間)とかなりの時間の勉強が必要なため、その分資格の専門性も高いものになります。
資格の専門性が高いほど、周囲の人よりも一歩抜きん出ることができるため、食いっぱぐれるリスクも少なくなりますね。
簿記1級って約1000時間も勉強が必要なのね!
ここまで、簿記1級の良い面をみてきましたが、実は巷では「簿記1級は取得しても意味がない」という噂があります。
次にその点について解説したいと思いますので、皆さんには簿記1級の良い意見と悪い意見を両方加味した上で、目指すかどうかを決めてもらえると嬉しいです。
簿記1級は意味がない!?
簿記1級が意味ないと言われる理由は以下の通りです。
- オーバースペック
- 独占業務がない
- 取得しても転職に役立たない
- コスパが悪い
それぞれ詳しく解説します。
オーバースペック
正直なところ、多くの会社(特に中小企業)は簿記2級の知識で事足りることが多く、簿記1級はオーバースペックになることがあります。
特に簿記1級で学ぶ連結会計は大手企業で活用できる(子会社や関連会社は中小企業よりも大企業の方が保有していること多い)ため、その他の会社に就職する人にとっては知識をあまり使う機会がなく、持っていても意味をなさない可能性があるのです。
独占業務がない
簿記1級は難易度が高いにも関わらず、公認認会計士における監査や税理士の税務書類の作成のような独占業務がありません。
また、士業と比較すると、取得しても収入にそこまで大きく結びつかないことから、取得するほどの価値はない(どうせなら公認会計士や税理士を取ったほうが良い)と思う人がいるようです。
取得しても転職に役立たない
資格あるあるですが、資格を取得しても実務経験がないために企業に採用されないことがあります。
簿記1級もこの例外ではなく、経理業務は多くの企業で実務経験が重視されていることから、取得しても転職であまり意味をなさない可能性があります。(あくまで可能性の話です。)
コスパが悪い
前述した通り、簿記1級取得までは合計950時間と多くの勉強時間が必要となり、合格率も約10%とかなり低いです。
一方で簿記1級の知識(連結会計や工業簿記等)は使う機会が限られていることから、勉強時間や合格率の割にコスパが悪いのでは?と思う人も多いようです。
なお、簿記1級に意味がないのかについては以下の記事で詳細に解説していますので、良ければ併せて読んでみてください!
簿記1級は取っても意味ないの?現役会計士が真相を徹底解説しちゃいます!
まとめ
今回は「簿記1級を取得すればを食いっぱぐれない?←これは事実です!」というテーマでご紹介させていただきました。
簿記1級は取得すれば食いっぱぐれるリスクは大幅に減りますが、かなり難易度が高い資格です。
自身の将来のキャリアプランや目的とよく照らし合わせて、目指すか否かを決めていただければ幸いです。
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました!