簿記1級は取っても意味がないって本当かな?
簿記1級を取るメリットが知りたいわね。
簿記2級を取得した人の中には、簿記1級を受験するか迷っている方も多いのではないでしょうか。
巷では「簿記1級は取る意味がない」という噂まであることから、余計に迷ってしまうと思います。
結論から申し上げますと、簿記1級を取る意味があるか否かはその人の目的ごとに変わる場合が多いです。
そこで今回は、簿記1級を取ったほうが良い人の特徴を列挙すると共に、簿記1級は意味がないと言われる理由も併せてご紹介していきたいと思います。
この記事を読み、簿記1級を取ったほうが良いか各々が考えていただけたら嬉しいです。
現役会計士(簿記1級〜3級も保有してますよ^^)が丁寧に解説しますので、是非最後までお付き合いください!
簿記1級は取っても意味ないの?
結論から申し上げますと、これは個々の目的により、意味がある人とない人に分かれます。
そこで、まずは取ったほうが良い人の特徴を列挙してみましょう。
簿記1級を取ったほうが良い人
簿記1級を取ったほうが良い人の特徴は以下の通りです。
- 大企業へ就職したい人
- 公認会計士や税理士を目指す人
- メーカーで働きたい人
- 収入を上げたい人
それぞれ詳しく解説します。
大企業へ就職したい人
大企業へ就職したい人が簿記1級を取得したほうが良い理由は簿記1級の試験範囲を見れば分かります。
以下は日商簿記検定1級の出題範囲を一部抜粋したものです。
このように簿記1級では連結会計を広く学ぶこととなります。
ここで、連結会計とは子会社や関連会社を保有している場合に使用される会計手法であり、子会社や関連会社は中小企業よりも大企業の方が保有していること多いため、大企業に就職したい人にとっては簿記1級を学ぶことに大きな意味があるのです。
なお、公認会計士資格スクールにおけるよくある質問にも同じような質問が投稿されていましたので、一部掲載させていただきますね。
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質問:何級まで取得すれば、就職や転職に有利ですか?
回答:1級まで取得すると、大手企業や上場企業の会計に関する一連の会計知識が身に付きます。経営企画部門での財務分析や、コスト管理業務等において有利になる他、それらを行う部門の責任者としての可能性も広がります。
【PR】なお、大手経理部門への転職を考えている方は以下のサイトがお勧めですので、是非確認してみてくださいね↓^^
公認会計士や税理士を目指す人
公認会計士や税理士を目指す人にとっては簿記1級の勉強は有効です。
筆者自身も試験範囲が被っていることから、公認会計士を目指す通過点として簿記1級を受験しました。
筆者の勉強スケジュールを知りたい方は以下の記事も参考にしてみてくださいね^^
公認会計士 短答式試験までの勉強時間!合格者が実績と合格の秘訣を大公開!!
公認会計士を目指す大学生のためのスケジュール!【現役会計士が徹底解説!】
特に税理士の場合、税法に属する科目の受験資格の1つに日商簿記検定1級合格者が含まれているため、税理士試験受験のために簿記1級を取得する人も多いです。
〜補足〜
令和5年度(2023年8月)から、税理士試験の「簿記論」「財務諸表論」の受験資格が撤廃されたことから、会計2科目については日商簿記1級を経由せずに受験することが可能になりました。
引用:国税庁ホームページ
メーカーで働きたい人
メーカーで働きたい人が簿記1級を取得したほうが良い理由も簿記1級の試験範囲を見れば分かります。
試験範囲の詳細は以下のリンク先を参照ください↓
このように、簿記1級では工業簿記や原価計算を広く学びますが、この知識は特に製造業で役に立ちます。
そのため、メーカーで働きたい人は簿記1級を取得し、周囲に一歩差をつけるのもアリです!
収入を上げたい人
もちろん、簿記1級を持っていたほうが収入があがるため、収入をアップさせたい人にとっても簿記1級は役に立ちます。
上記でも述べた通り、簿記1級の知識は大手企業で使用することが多いため、簿記1級保有者の多くが大手企業(資本金10億円以上の株式会社)の経理職に就くと仮定し、日本の平均年収と比較してみることにします。
日本の平均年収
- 443万円(男性:545万円、女性:302万円)
大手企業の平均年収
- 615万円(男性:731万円、女性:363万円)
このように簿記1級を保有していると、日本の平均年収よりも170万円以上、上回ることが分かります。
また、簿記1級は難易度も高く、資格手当を支給している会社もあるため、就職先の会社を要チェックしてみましょう!
ここまで聞くと、簿記1級は良いことづくしに聞こえるな。
ではなぜ、「簿記1級は意味がない」と言う意見があるのでしょうか。
次にその理由について深堀りしていきたいと思います。
簿記1級が意味ないと言われる理由
簿記1級が意味ないと言われる理由は以下の通りです。
- オーバースペック
- 独占業務がない
- 取得しても転職に役立たない
- コスパが悪い
オーバースペック
正直なところ、多くの会社(特に中小企業)は簿記2級の知識で事足りることが多く、簿記1級はオーバースペックになることがあります。
前述した通り、簿記1級は特に大手企業で活用できるため、その他の会社に就職する人にとっては知識をあまり使う機会がなく、持っていても意味をなさない可能性があるのです。
独占業務がない
簿記1級は難易度が高いにも関わらず、公認認会計士における監査や税理士の税務書類の作成のような独占業務がありません。
また、士業と比較すると、取得しても収入にそこまで大きく結びつかないことから、取得するほどの価値はない(どうせなら公認会計士や税理士を取ったほうが良い)と思う人がいるようです。
取得しても転職に役立たない
資格あるあるですが、資格を取得しても実務経験がないために企業に採用されないことがあります。
簿記1級もこの例外ではなく、経理業務は多くの企業で実務経験が重視されていることから、取得しても転職であまり意味をなさない可能性があります。(あくまで可能性の話です。)
コスパが悪い
簿記1級取得までは合計950時間(簿記3級:100時間、簿記2級:250時間、簿記1級:600時間)と多くの勉強時間が必要となります。
さらに、簿記1級の合格率は平均すると約10%とかなり低いです。
以下は日本商工会議所が開示している「1級受験者データ(統一試験)」からの抜粋になります。(過去5回分)
回 | 合格率 |
---|---|
164(2023.6.11) | 12.5% |
162(2022.11.20) | 10.4% |
161(2022.6.12) | 10.1% |
159(2021.11.21) | 10.2% |
158(2021.6.13) | 9.8% |
一方で簿記1級の知識(連結会計や工業簿記等)は使う機会が限られていることから、勉強時間や合格率の割にコスパが悪いのでは?と思う人も多いようです。
簿記1級を目指すか迷うわね。
では最後に多くの人が疑問に思う「簿記1級を取得すれば食いっぱぐれないのか」について簡単にご紹介しておきたいと思います。
簿記1級を取得すれば食いっぱぐれないって本当?
結論から申し上げますと、これは事実です。
その理由を以下に列挙します。
- 年収が高い
- 重宝される資格の割に合格率が低い
- 就職・転職に有利
- 上位資格も取得できる可能性がある
- 専門性が高い
この真相が知りたい方は以下の記事で詳細に解説していますので、是非読んでみてください!
まとめ
今回は簿記1級は取っても意味がないのかについて深堀りして解説させていただきました。
簿記1級は魅力的な資格ですが、勉強時間もかなり必要になるため、自身の目的とよく照らし合わせて、目指すか否かを決めていただければと思います。(個人的には公認会計士や税理士を目指す方は通過点として、取得しておいても損はないかなーと思いますね^^)
最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました!