30代で職歴ないけど、公認会計士になれば就職できるのかな?
公認会計士を目指したいけど、30代だと遅いかしら…
30代の皆さんの中にはこのようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、30代職歴なしであっても公認会計士試験に合格すれば、監査法人等への就職は可能です!
実際に大手監査法人の募集要項をみても、年齢制限を設けている法人はほとんどありません。
今回は30代職歴なしの場合の就職状況や注意点等を様々な観点から解説してみようと思います。
現役会計士の筆者が丁寧に解説しますので、是非最後までお付き合いください!
30代でも公認会計士試験は合格できるの?
公認会計士を目指そうか悩まれている30代以上の方の中には、“そもそも30代でも公認会計士になれるのかな”と不安になる方もいると思います。
この点は自信を持って、
公認会計士は何歳からでもなれます!
とお伝えします。
まず、公認会計士試験には受験資格はなく、何歳からでも公認会計士を目指すことが可能です。
これは公認会計士試験の運営を担う公認会計士・監査審査会のHP(公認会計士試験に関するQ&A)においても明確に記載がなされています。
Q.公認会計士試験に受験資格の制限はありますか?
A.受験資格の制限はありません。年齢、学歴、国籍等にかかわらず、どなたでも受験することができます。
出典:公認会計士・監査審査会HP
つまり、公認会計士という資格はどんな人でもゲットするチャンスがあるのです!
ちなみに、公認会計士と学歴に関係がないことは以下の記事で詳細に解説していますので、良ければ併せて読んでみてください^^
公認会計士に学歴関係ないって本当?受験資格から職場の実態までお話しちゃうよ!
また、実際に30代でも公認会計士試験に合格している人はたくさんいます。
公認会計士・監査審査会が公表している「令和5年 公認会計士試験 合格者調」では以下の通り年齢別の合格者数が開示されていますので、確認してみましょう。
ここで、全体平均の合格率36.8%と比較すると、30代の合格率は30歳以上35歳未満26.8%、 35歳以上40歳未満14.1%と若干低いように感じると思います。
この要因としては30代以上は働きながら公認会計士を目指していることが多いため、どうしても勉強時間を確保することができず、結果的に合格率が下がっていることが挙げられます。
ただし、ここで勘違いしないでいただきたいのは、30代の合格率が低いのは十分な勉強時間を確保できていないからであり、年齢的に厳しいということではないということです。
そこでもう一つ資料をみてみましょう。
以下は「令和5年 公認会計士試験 合格者調」で開示されている職業別の合格者調から一部抜粋したものです。
注目していただきたいのは黄色でハイライトした無職の方の合格率です。
対願書提出者「7.9%」と対論文式受験者「31.6%」は全体平均の「7.6%」及び「36.8%」とほぼ同等であり、勉強時間を確保すれば、誰でも公認会計士試験に合格することが可能であることがお分かりいただけると思います。
そのため、30代という年齢を理由に公認会計士を目指すか悩んでいる方はそこは安心していただいて大丈夫です。
では、ここまでで30代でも公認会計士試験をクリアすることは可能ということがお分かりいただけたかと思いますので、本題の就職状況についてみていきましょう。
今回は30代で監査法人に就職できるのかを理論編と事実編に分けてご紹介したいと思います!
30代でも監査法人に就職できるの?
理論編
公認会計士試験に合格すると、多くの合格者は監査法人に就職しますので、監査法人への就職状況について回答します。
日本にはBIG4と呼ばれる国際的な巨大会計事務所グループ(EY、Deloitte、KPMG、PwC)と提携している4つの大手監査法人があります。
- 新日本有限責任監査法人(EY)
- 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte)
- 有限責任あずさ監査法人(KPMG)
- あらた有限責任監査法人(PwC)
この4つの監査法人の採用ページを確認したところ、以下の3つの法人で年齢制限を設けていないことを公表していました。
<新日本有限責任監査法人>
Q.年齢制限はありますか。
A.特に年齢制限はしておりません。
<有限責任監査法人トーマツ>
Q9:採用に関して、既卒や年齢などの制限はどの程度ありますか。
A:採用は公認会計士試験全科目合格者を対象としていますが、年齢などに関して制限は定めておりません。
<有限責任あずさ監査法人>
Q.採用に関して年齢制限はありますか
A.特に年齢制限は設けていません。
公認会計士試験は難易度がかなり高く、無職で勉強を続けていることが多いことを監査法人側も分かっており、優秀な人材を逃さないためにも、年齢については制限を設けていないことがうかがえます。
また、現在の監査法人側の募集人数と実際の合格者数を比較すると以下の通りです。
①過去3年間の公認会計士試験合格者数
年度 | 合格者数 |
---|---|
令和3年 | 1,360人 |
令和4年 | 1,456人 |
令和5年 | 1,544人 |
平均すると1,400人強になります。
②4大監査法人の採用数
有限責任監査法人トーマツの採用サイトの募集要項に、新卒の採用予定者数は300名程度と記載があるため、この情報をもとに採用数を推定すると、以下の通りとなります。
監査法人 | 採用数 | 備考 |
---|---|---|
新日本有限責任監査法人 | 300人 | トーマツと同様の採用数と想定 |
有限責任監査法人トーマツ | 300人 | トーマツと同様の採用数と想定 |
有限責任あずさ監査法人 | 300人 | トーマツと同様の採用数と想定 |
あらた有限責任監査法人 | 200人 | 規模を考慮し、200人と想定。 |
合計採用数 | 1,100人 |
1,400人強の合格者に対し、4大監査法人だけで約1,100人の採用枠を設けています。
これだけ見ても、現在の監査法人への就職がそこまで厳しい状況ではないことが分かると思います。
さらに、1,400人の合格者の中には民間企業やコンサルティング会社を志望される方や大学在学中の方もいますので、競争率はさらに低いものとなります。
つまり、現在の公認会計士業界では売り手市場の傾向が強く、30代でも就職先に困らない可能性が高いことがお分かりいただけると思います。
では、ここまでで理論的には監査法人に入社できることがお分かりいただけたかと思いますが、実際に30代職歴なしで監査法人に入社している人がいるのかについて、次章で解説したいと思います。
事実編
結論から申し上げますと、もちろんいます。筆者は上記で述べた大手監査法人の1つに入社しましたが、筆者の同僚にも何名か30代職歴なしで入ってきた方がいました。
話を聞くと、入社までは色々な経歴の方がいました。
- ずっと予備校で勉強をしていた人
- アルバイトと平行で勉強を続けた人
- 公認会計士試験に受からないため、一度、社会人になったものの、やはり公認会計士が諦めきれず、会社をやめて勉強した人
30代職歴なしの同僚の一人が「合格発表の次の日は監査法人に行くか、ハローワークに行くかどちらかだった」と話しており、当時の覚悟が垣間見え、鳥肌が立った覚えがあります。
30代で職歴がない場合でも現在の就職状況であれば、監査法人に入社することは十分可能なため、そこはあまり気にせずに勉強に励んでもらいたいと思います。
では、30代で就職する場合に気を付けたほうが良いことはあるのでしょうか。最後にみておきましょう。
30代で就職する場合の注意点
30代で就職する場合は以下の2点に気をつけましょう。
- 面接対策にも力を入れる
- 年下が先輩になる覚悟をする
それぞれ詳しく解説します。
面接対策にも力を入れる
30代で就職活動する場合、確かに20代の合格者よりは厳しい目で見られることが予想されます。
監査法人の就職活動は公認会計士試験合格者を対象としているため、そこまで倍率が高くないものの、30代の方は面接対策をきちんと行い、受け答えをハキハキできるようにしておくことが重要です。
特にこれまで何をしていたのかを聞かれる可能性が非常に高いため、その部分についてはしっかりと回答できるように準備しておきましょう。
予備校によっては就職活動まで面倒をみてくれるところもあると思いますので、上手く利用しながら公認会計士試験も採用も勝ち取りましょうね!
年下が先輩になる覚悟をする
監査法人では年齢は関係なく、入った年次で先輩、後輩が決まります。
そのため、30代で監査法人に入社すると20代前半の小娘にタメ語で指示されることもしばしばあるでしょう。
イラッとすることもあるかもしれませんが、これは30代で就職する宿命みたいなものなので、年下が先輩になることも覚悟して入社することをおすすめします。
まとめ
今回は「公認会計士は30代職歴なしでも就職できる!注意点と併せて徹底解説します!」のテーマでご紹介させていただきました。
30代職歴なしでも現状、就職についてはそこまで苦労しないと思いますので、そこはあまり心配せずに勉強を頑張っていただきたいと思います。
皆さんの夢が叶うことを応援しています!